SADBE療法とは?

SADBE療法は、正式には局所免疫療法と呼ばれ、主に円形脱毛症の治療に用いられる方法です。SADBE(Squaric Acid Dibutyl Ester:スクアレン酸ジブチルエステル)という化学物質を脱毛部分に塗り、人工的に軽い「かぶれ(接触皮膚炎)」を起こします。このかぶれによって引き起こされる免疫反応を利用して、発毛を促すことを目的とした治療法です。
特に、脱毛範囲が広い多発型や全頭型、汎発型の円形脱毛症に対して、他の治療法で十分な効果が見られない場合に選択肢として考慮されます。

SADBE療法の特長

難治性の円形脱毛症への効果が期待できる: アトピー素因のない成人の広範囲に及ぶ円形脱毛症に対して、日本皮膚科学会の診療ガイドラインで推奨度B(行うことを勧める)とされており、標準的な治療法の一つとして位置づけられています。

  • 作用機序が明確: 人工的にかぶれを起こすことで、毛根を攻撃しているリンパ球などの免疫細胞の働きを抑制・変調させ、毛根への攻撃を止めさせることで発毛を促すと考えられています。
  • 小児にも適用されることがある: 他の治療法が制限されることがある小児の円形脱毛症に対しても、選択肢となる場合があります。
  • 全身への影響が少ない: 薬剤を塗布した局所的な反応を利用するため、内服薬などに比べて全身的な副作用のリスクが低いとされています。

期待できる効果

広範囲にわたる難治性の円形脱毛症において、発毛を促す効果が期待できます。治療の目標は、まず産毛を生やし、それを徐々に太くしっかりとした毛に育てていくことです。
円形脱毛症は、免疫機能の異常により、本来は体を守るはずのTリンパ球が、自身の毛根を誤って異物と認識して攻撃してしまう自己免疫疾患の一種と考えられています。
SADBE療法では、塗布した部位に意図的に接触皮膚炎を起こします。すると、その皮膚炎を抑えようとする別の免疫細胞(サプレッサーT細胞など)が集まってきます。このサプレッサーT細胞が、毛根への攻撃を行っていたTリンパ球の過剰な働きも一緒に抑制するため、毛根への攻撃が収まり、発毛が促されると考えられています。
この作用機序と臨床結果から、日本皮膚科学会が策定した「円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」において、アトピー素因のない成人の脱毛面積が25%以上の症例に対して推奨されています。

含有成分について

SADBE療法で用いられる「SADBE(スクアレン酸ジブチルエステル)」は、栄養分や天然由来の成分ではなく、人工的に合成された化学物質です。この物質自体に栄養があったり、直接的に毛を育てる効用があるわけではありません。あくまで免疫反応を誘発するための試薬として使用されます。

Q&A

治療に痛みはありますか?

薬剤を塗る時自体に痛みはありません。しかし、この治療は軽いかぶれを起こすことが目的なので、治療が進むと塗った部分にかゆみ、赤み、軽い腫れなどの症状が現れます。この反応が、治療が順調に進んでいるサインとなります。かゆみが強すぎる場合は、医師が濃度を調整したり、かゆみ止めの薬を処方したりします。

効果はどれくらいで現れますか?

効果の現れ方には個人差が非常に大きいですが、一般的には治療開始から3ヶ月〜半年以上かかることが多いです。まずは産毛が生え始め、徐々にしっかりとした毛に変わっていくという経過をたどります。根気強く治療を続けることが大切です。

保険は適用されますか?

いいえ、SADBE療法は保険適用外の自費診療となります。

治療を途中でやめるとどうなりますか?

治療を中断すると、再び脱毛が進行してしまう可能性があります。医師の指示に従い、定期的な通院を続けることが重要です。

処置の受け方

SADBE療法は、以下のステップで進められます。

  1. 感作(かんさ)の確立○ 初めて治療を受ける際に、まず体をSADBEに反応する状態(かぶれやすい状態)にする必要があります。これを「感作」と呼びます。
    • 医師が高濃度のSADBE(約1〜2%)を染み込ませたガーゼなどを、腕の内側などの目立たない場所に24〜48時間貼り付けます。
    • 約2週間後、貼り付けた部分が赤くかぶれてきたら、感作が成立したと判断されます。
  2. 治療の開始と濃度の決定
    • 感作が成立したら、非常に低い濃度(例: 0.0001%など)のSADBEを脱毛部に塗布します。
    • 1〜2週間ごとに通院し、軽いかゆみや赤みが持続する程度に、塗布するSADBEの濃度を徐々に上げていき、患者さん一人ひとりに合った至適濃度を決定します。
  3. 治療の継続
    • 至適濃度が決まったら、その濃度で定期的に(1〜2週間に1回程度)脱毛部への塗布を継続します。
    • 体の反応は変化することがあるため、毎回診察で皮膚の状態を確認し、必要に応じて濃度を微調整しながら治療を進めます。

使用できない方、注意事項と副作用

使用できない可能性のある方

  • 重度のアトピー性皮膚炎の方(症状が悪化する可能性があるため)
  • 妊娠中、授乳中の方、または妊娠の可能性のある方
  • 日光に対して過敏症(光線過敏症)のある方

注意事項

  • SADBEを塗布した後は、医師の指示があるまで(例: 6〜24時間)、その部分を濡らしたり、洗ったりしないようにしてください。
  • 自己判断で塗布の量や回数を変えないでください。
  • かぶれの反応が強く出すぎた場合(強いかゆみ、水ぶくれ、ただれなど)は、速やかに医師に相談してください。
  • 治療中は、紫外線を過度に浴びることは避けてください。

副作用

SADBE療法は、意図的に皮膚炎を起こす治療法のため、以下のような副作用が起こる可能性があります。

  • 比較的よく見られる副作用:
    • 塗布部位の接触皮膚炎(かゆみ、赤み、腫れ、じゅくじゅくする、かさぶた)
    • 首や耳の後ろなどのリンパ節の腫れ
  • まれに見られる副作用:
    • 全身のじんましん
    • 塗布部位の色素沈着(シミになる)や色素脱失(白く抜ける)
    • 強いアレルギー反応による水疱(水ぶくれ)形成
    • 頭痛、倦怠感

これらの症状が現れた場合は、すぐに医師に相談することが重要です。

本ウェブサイトの情報は一般的な知識の提供を目的としており、個別の診断や治療法などの提供、推奨を行うものではありません。症状に関するご相談は必ず直接クリニックを受診して、医師の診断を受けて下さい。また、診療に当たっては同意書への同意などクリニックが定める所定のお手続きを行って頂く必要があります。予めご了承下さい。

SADBE療法の料金

SADBE療法の料金

SADBE療法は自費診療となります。

施術項目料金(税込)
SADBE療法1回あたり
1,650円

※別途診察料がかかります。